2013-07-26から1日間の記事一覧

033:夏(大島幸子)

かなかなと疑問の声が鳴り止んで不意に魔が差す夏の夕暮れ

SS:032:猛

SS

いつのまにか突っ伏すように眠り落ちていた。ボンヤリとした視界の前には四角い海。テーブルの上に置き去りにされた暑中見舞いハガキの中に広がる青。つまんで文面を読む。『猛暑の折くれぐれもご自愛下さいますようお祈り申し上げます』海に行きたい。もう…

032:猛(大島幸子)

従順なふりして眠る猛犬も午睡に飽きる午後三時半

SS:031:はずれ

SS

駄菓子屋の前に置かれた赤いベンチに並んで腰掛け、アイスキャンディーの袋を破った。日陰にも容赦なく侵食する真夏の熱気を受けて、食べるスピードより早くアイスキャンディーは溶けていく。ぽた、た、とアスファルトに砂糖水が滴り落ちた。「またはずれ。…

031:はずれ(大島幸子)

くじ運が無いと嘆いて同情を誘う狙いもはずれてひとり