SS:031:はずれ

駄菓子屋の前に置かれた赤いベンチに並んで腰掛け、アイスキャンディーの袋を破った。日陰にも容赦なく侵食する真夏の熱気を受けて、食べるスピードより早くアイスキャンディーは溶けていく。ぽた、た、とアスファルトに砂糖水が滴り落ちた。「またはずれ。これさあ、本当に当たり入ってんのかな。見たことないんだけど」「あるよ」「マジで」「マジで。ほら」「あ!」