2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧

061:獣(大島幸子)

人慣れぬ獣もいつか愛を知り尾を振ることをいとわなくなる

060:何(大島幸子)

改札に並ぶ人々ポケットのカード取り出し応える誰何(すいか)

059:永遠(大島幸子)

永遠に果ての見えないこの道を遠く遠く遠くまで行こう

058:秀(大島幸子)

木枯らしに秀でた額あばかれて寄せた頬から熱は沁みゆく

057:衰(大島幸子)

凶暴な想いは箱に閉じ込めて息を潜めて衰弱を待つ

056:善(大島幸子)

逃げて行く君の背中を思い出す 一人の夜の独り善がりに

055:駄目(大島幸子)

境界を踏み越えるのは駄目だけど狭間でくちづけするのは許す

054:商(大島幸子)

テーブルの上に転がる赤い実を割って兎の商を求めよ

053:受(大島幸子)

まごころを確かに渡したはずなのに受け取り印をもらえずにいる

052:ダブル(大島幸子)

五十歩百歩ダブルスコアの距離を鼻歌まじりのスキップで進め

051:般(大島幸子)

謹んで諸般の事情を考慮した玉虫色の返答をせよ

049:括(大島幸子)

我々と括ってみても虚しくて わたしはわたしあなたはあなた

050:互(大島幸子)

疑いを互いに隠し持つ夜に箍(たが)を外してこたえ違えず