田舎暮らしで10首
縁側に湯呑みはふたつ 大木のキウイに登る猫を見ている 071:側
生活を銘々皿に取り分けて明日も同じおかずでいいよ 072:銘
谷底に転がる石の存在に意義を問われて何もかえせず 073:谷
青空にたなびくけむり「大丈夫、あれは火事じゃあなくて野焼きよ」 074:焼
西からの風は東に吹き抜けて底冷えがする盆地の夜は 075:盆
春先の小道に落ちる藁と泥 ほのかに香る堆肥の臭い 076:ほのか
集団の中の異物を排除する目聡いひとと耳聡いひと 077:聡
ひび割れた鏡のようにきらきらと棚田の夕日は小分けにされて 078:棚
今日からは黒いものなら黒でよい 絶対君主制の崩壊 079:絶対
村議会議員は夜に訪れて通夜振る舞いの誘いをうける 080:議