なんとなくサスペンス風に10首(題詠)

(この10首は昇順で読まないと意味を成さないのでまとめておきます)


赤錆のにおいをまき散らしながら濡れて転がるバールのような/011:錆

流れゆく証拠物件と手掛かり 現場検証雨天順延 /012:延

『実の』っていわくありげね 実の父 実の妹 実の隣人 /013:実

祭壇に花を供える白い花 小窓の中の人と目が合う /014:壇

ねえもっと触ってと身をくねらせて喉奥鳴らす毛艶の良い猫 /015:艶

捜査線上に浮かんだ犯人はこの中にいる(と思う)(たぶん)/016:捜

あやしげな店のサービス券こそが決定的な物的証拠 /017:サービス

謎解きの一歩手前で立ち止まる孤立無援の断崖絶壁 /018:援

「犯人は実の妹なんです」とみのるくんのお父さんは言う /019:妹

中央署 ブラインドには夕焼けを眺めた跡の折り癖があり/020:央